2024.11.24 イベント

EdgeTech+ 2024に出展しました!

エンベデッド製品事業部として、AI-SBC “Kakip”とプリズム分光、二つのテーマで出展しました。大変多くの方々にご来訪いただき、ありがとうございました。

2024年11月20日(水)~22日(金)パシフィコ横浜で開催されたEdgeTech+2024に出展いたしました。日本国内の展示会で、専用ブースをデザインして出展するのはユリ電気としては初の試みでしたが、様々な企業の方々のご協力もあって、大変盛況に終わることができました。

ユリ電気のエンベデッド製品事業部は、「画像処理」という一つの軸の中で、組込みに特化した2つの分野の製品を皆様にご提案しています。一つはプリズムを使った「マルチ分光モジュール」製品、もう一つはAIシングルボードコンピュータ「Kakip(カキピー)」を掲げるエッジAI製品です。これまでそれぞれ別々の展示会に出展していましたが、EdgeTech+2024ではユリ電気のブースとして2つのテーマを同時出展いたしました。どちらかというとエッジAIに適した展示会だと思いきや、分光に興味を持ってくださる来場者もかなり多く、将来両分野のシナジーを目指すユリ電気としては、同時に出展していくことの重要性も感じた次第です。

プリズム分光モジュール(PureSpectra社)

画像処理の世界では、何かとイメージセンサ含めたカメラの画質やソフトウェア側の処理やアルゴリズムを重視されがちですが、もう一つ、非常に重要な要素があります。そもそもイメージセンサは光を電気信号に変えるデバイスですから、前段の「光」は画像処理の要となる要素なのです。私たちの目が感度を持っている可視光の範囲を超えて、昨今では従来のシリコンセンサの持つ1,000nm近辺の近赤外光から、InGaAs素材のセンサが持つ1,700nm近辺の短波近赤外波長まで、波長によって被写体の様々な見え方があることに注目されており、とらえる光によって人の目ではできない特徴ある画像が得られることが分かっております。プリズムは一つの光軸でこういった複数の波長を同時に分けて撮像することが可能となります。今回のEdgeTech+の展示では、分光により実際にどのような画像が出るのかを実例として紹介いたしました。また、プリズム分光は、「波長を分ける」以外にも、プリズムへのセンサの貼り合せの調整で「複数の焦点距離を同時に撮影する」などの応用も可能です。

PureSpectra社のプリズム分光モジュールを使ったFA用カメラをオムロンセンテックさんからお借りして展示しました。RGB分光はプリズムの元祖ですが、「色」が重要となる検査や、被写体をR、G、Bの波長で撮影してそれぞれの特徴を生かして画像処理を行うようなアプリケーションには欠かせない存在となります。ユリ電気では、カメラ化した製品も積極的に扱ってご提案しております。

AIシングルボードコンピュータ 「Kakip(カキピー)」

Kakipはルネサスの最新AI-MPU「RZ/V2H」を搭載した高性能AI画像処理機能を持つシングルボードコンピュータで、同社のDRP-AI3によるAI処理の性能に加え、マルチコアCPUによりリアルタイムの外部制御を同時に行える点でロボットなどへの組込開発に大きな力を発揮できる製品です。EdgeTech+の会場ではAGIRotots株式会社のご協力を得て、中央のメインエリアに人型のロボットを展示いたしました。KakipのAI画像処理を使って物体検知を行い、ペットボトルを移動させる実験的なデモを行いました。GMSLカメラを接続して画像を取り込むなど、シレっとこれからのKakipの可能性を盛り込んでいます。

Kakipの大きな特徴として4chのカメラ入力が挙げられます。今回はハードウェアの展示のみでしたが、4chのMIPIカメラを接続できるKakip用のマウス型ロボットもコンセプト展示しました。4眼VSLAMでマッピングし、モーターを動かして自律走行するロボットシャーシで、J-7SYSTEM WORKSの協賛での展示をさせていただきました。

Kakipはエッジで推論を行うデバイスですので、その前段、そもそもの「AI学習モデルを作る」部分も重要となります。ルネサスのDRP-AIにも精通したコンピュータマインドさんのDeepEyeはユーザーの負担の大きい学習作業を簡易にしてくれるツールで、Kakip用のモデル生成も可能になります。

まだまだ発展途上なKakipですが、多くの企業様のご協力を経て、強力な組み込みAI基板に発展させていきたいと思いますので、一度お手に取っていただければと思います。展示会にはいろいろ出展したいと思いますので、皆様またお会いしましょう!See you again!

株式会社ユリ電気商会 代表:木内